国慶・中秋の「二重祝日」の期間、山東省曲阜市の東門大街では、青レンガと灰瓦の街並みに、ほのかな墨の香りと桂の香りが漂っていた。大街1号に位置する「三孔文化観光サービス会社」の孔府作坊ショップには、客が絶えなかった。ガラスケースの中には、尼山硯の山脈のような模様を持つ硯台、「学而時習之」と刻まれた孔府楷彫、箔押し表紙の『論語』の書籍が整然と並び、数名の外国人観光客が孔子像の文創（文化創意）グッズを手に取り、翻訳を通して店員に尋ねた。「これ、出国時免税手続きできますか？」店員は笑顔で頷き、免税手続きの多言語ガイドを手渡した。
ドイツから来た観光客のアンナは、店員の案内でわずか5分で免税申請書を記入した。彼女のショッピングバスケットには、孔府楷彫のしおりセットや小さな孔子像の置物が入っていた。「手続きがとても簡単！店員さんが多言語の案内もくれました。この免税サービスがあるおかげで、もっと買い物したくなりました。曲阜は文化都市であるだけでなく、買い物もとても便利な場所です。」
「以前は出国時の免税手続きが複雑で、店に迷惑をかけるのではと心配していましたが、今ではこれが外国人観光客を惹きつける『金の鍵』だと分かりました」と、ショップに所属する曲阜市三孔文化観光サービス会社の財務担当者孔振は、レジ横の「出国時免税店」サインを指しながら感慨深げに話した。济宁市初の出国時免税店となった孔府作坊ショップの「変貌」は、国家税務総局曲阜市税務局による訪問サービスがきっかけだった。税務局の職員が政策マニュアルと申請フロー表を携えて訪問し、簡素化された申請手順を詳細に説明するとともに、免税申告システムの操作を実演し、企業の不安を解消した。曲阜市三孔文化観光サービス会社は直ちに資料を整え、税務局に申請を提出し、旗下の孔府作坊ショップに济宁市初の出国時免税店を設置した。
出国時免税の利便性を向上させ、外国人観光客に快適な旅行・ショッピング体験を提供するため、国家税務総局曲阜市税務局は積極的にサービスモデルを転換し、大データを活用して外国人向けサービスを提供する企業を選定。徴納プラットフォームや税企WeChatグループなどを通じて、免税政策を精確に周知し、「人が政策を探す」から「政策が人に届く」形へ転換した。同時に、税制政策の指導チームを編成し、三孔景区や周辺商圏を巡回して「税制惠訪+政策説明+質問対応」の組み合わせ型プロモーションを実施。税制政策を通じて世界とつながる橋を架け、「中国購（ショッピング）」で外国人観光客の入境消費意欲を喚起し、「中国旅行」をより魅力的なものにしている。
「出国時免税店になってから、多くの外国人観光客が『免税』目的で買い物に来るようになり、ブランドの知名度も上がりました」と、尼山聖境景区の文創店責任者は、売れたばかりの「尼山聖境全景図」文創商品を手に語った。休日中、儒教文化をモチーフにしたしおりやスカーフなどの商品が特に好評で、購入者の3割が外国人観光客だった。このような賑わいは、曲阜の各大景区周辺で次々と見られた。統計によれば、二重祝日期間中、曲阜市は国内外の観光客98万人を受け入れ、前年同期比3.2％増加。そのうち三孔景区は45.3万人、文創商品販売額は前年同期比15％増加し、出国時免税政策が文化・観光消費を牽引する重要なエンジンとなった。
休日終了後も、曲阜は文化・観光の「海外展開」を推進し続けている。今後、曲阜市は税務サービスの最適化を継続し、老舗や非遺（無形文化遺産）など産業・業界の特色を十分に活用。より多くの「中国要素」を備えた特色ショップを免税政策の対象に誘導し、入境するすべての観光客に一流のショッピング環境と消費体験を提供。国際的な客層を拡大し、文化・観光産業の発展と世界文化観光都市建設を後押しする計画である。