百貨店がアニメや漫画、ゲーム関連グッズのショップを積極的に展開している。「百貨店離れ」が深刻な若者世代や、コロナ禍の収束後に急増した訪日外国人客を取り込むためだ。国内外のファンを魅了するコンテンツの力を借りることで、集客力の底上げを図る。(相間美菜子)

高島屋大阪店(大阪市)は今月29日までの期間限定で、スマートフォン向けゲーム「にゃんこ大戦争」の関連グッズのショップを7階に設けている。にゃんこ大戦争は、ポノス(京都市)が2012年に配信を開始し、ダウンロード数が世界で1億1000万回を超える人気ゲームだ。クッションやキーホルダーなどのグッズを扱い、写真撮影用のパネルもある。親子で来店した大阪市北区の主婦(29)は「息子が喜んでくれて良かった」と話していた。
この場所は今年4月、7階の催事用スペースの活用により生まれた。アニメ「呪術廻戦(じゅじゅつかいせん)」など、2週間程度でテーマを入れ替えながらショップを展開している。来場客の半数以上が40歳代以下、会員カードを持たない人が6~7割を占める。企画担当者は「新たな顧客を獲得し、他のフロアに来店客を波及させたい」と話す。
近鉄百貨店は22年、あべのハルカス近鉄本店(大阪市)近くの商業施設に、サブカルチャーの情報発信拠点を開設。今月19日には奈良店(奈良市)に、キャラクター「ちいかわ」の期間限定のショップを設けた。阪急百貨店梅田本店(大阪市)も今春、漫画「ハイキュー!!」の映画版の展示イベントを開いた。
国内外で高い人気
日本百貨店協会によると、全国の百貨店売上高はピークの1991年に9兆7130億円に達したが、近年は6兆円を下回り続ける。若者を中心とした「百貨店離れ」を食い止めようと、各店はゲームやアニメといったコンテンツに注目している。
日本のコンテンツ産業は国内外で人気が高く、アニメなどの「聖地巡り」を楽しむ訪日客も多い。調査会社のヒューマンメディアによると、アニメや漫画といった日本発コンテンツの2024年の海外売上高は、14年の4倍近い約6兆円に上る。
こうした動きを先取りしたのが、ファンの間で「キャラクターの聖地」とも呼ばれる大丸梅田店(大阪市)だ。10年に「ポケモンセンターオーサカ」などを誘致した。その後も任天堂やカプコンの公式ストアなどが登場した。
24年には別フロアに「第2拠点」を設け、「クレヨンしんちゃん」や「仮面ライダー」のグッズを販売するショップが開業した。担当者は「来店客がときめくようなポップカルチャーを発信したい」と話す。
百貨店の歴史に詳しい中部大人文学部の末田智樹教授は「百貨店は文化を発信する場で、IP(アニメなどの知的財産)を取り込む動きの広がりが予想される。一方で、百貨店のブランドイメージを損なう可能性があり、多くの百貨店は模索中の段階」と指摘している。