紳士服大手はるやまホールディングス(HD)で続いてきた創業家内の対立が、収束に向かう見通しとなった。29日に開催予定の株主総会で、創業家出身の治山(はるやま)正史会長(58)らを取締役に再任する会社側提案に、実姉で株主の岩渕典子氏(60)が賛成する方針に転じた。岩渕氏は昨年まで3回連続で正史氏の再任に反対していた。
岩渕氏は読売新聞の取材に対し、「今のところ、賛成する予定だ。株主に反対を呼びかけることはない」と明らかにした。岩渕氏は、はるやまHD株の2・13%(昨年9月末時点)を保有している。方針転換の理由について、昨年12月に創業者で父親の治山正次氏が死去したことを挙げ、「会社、社員のため創業家は一致団結する」と説明した。
岩渕氏は昨年の株主総会で、はるやまHDの業績が他社に比べて低迷していることを理由に「現経営陣では会社の存続が危ぶまれる」などとして独自の人事案を提案したが、否決された。
コロナ禍からの経済活動の再開に伴い、業績が回復していることも方針転換の背景にあるとみられる。スーツなどの需要が回復し、はるやまHDは23年3月期連結決算で2億円の最終利益(前期は78億円の赤字)を確保し、3期ぶりに黒字転換を果たした。