全日本空輸(ANA/NH)は7月29日、米サウスカロライナ州のチャールストン国際空港で現地時間18日に起きたタキシング(地上走行)中のボーイング787-10型機(登録記号JA986A)が、駐機していた米LCCのブリーズ・エアウェイズ(MXY/MX)のラスベガス発ノーフォーク行きMX509便(エアバスA220-300型機、N247BZ)に接触した事故について、米国のNTSB(米国家運輸安全委員会)が28日に「航空事故」に認定したと発表した。ANAの787-10は空港に隣接するボーイングの工場で製造された新造機で、羽田空港へフェリー(空輸)するフェリーフライトのNH9397便として、経由地のロサンゼルスへ向かう予定だった。

ANAによると、接触事故は18日午後9時40分(日本時間19日午前10時40分)ごろ、チャールストン空港の誘導路M上駐機場R6付近で発生。NH9397便の左主翼端がR6スポットに駐機していたMX509便の垂直尾翼に接触した。詳しい原因は調査中だという。
18日のNH9397便は、ロサンゼルスとホノルルを経由して羽田へ向かうフェリーフライトで、チャールストンを午後9時25分(定刻午後6時)に出発。当該機は787-10の国内線仕様機では最新の6号機で、空港に隣接するボーイングの最終組立工場「BSC(ボーイング・サウスカロライナ)」で製造された。座席数は2クラス429席(プレミアムクラス28席、普通席401席)で、エンジンはGE製GEnx-1Bを搭載している。搭乗していたのは、機体の空輸業務に携わるANA社員3人とパイロット2人の計5人で、体調不良やけがはなかったという。
一方、機体は左の翼端に擦過痕(こすれた形跡)、へこみ、ライトやレンズの割れがあり、修復作業に向けた調整を進めている。
駐機していたMX509便は、米国西部のネバダ州ラスベガスを出発し、東部のバージニア州ノーフォークへ向かっていたが、雷雨のためチャールストンへダイバート(目的地変更)。チャールストンでは給油を待っていた際に、NH9397便が接触した。
ANAの787-10国内線仕様機は、2024年3月27日就航。11機発注済みで、2026年度末までに残り5機を受領する計画となっている。
ボーイングは、2カ所あった787の最終組立工場をBSCに集約。シアトル近郊のエバレット工場での787の製造は2021年に終了している。
ブリーズは米ジェットブルー(JBU/B6)の創始者、デービッド・ニールマン(David Neeleman)氏が立ち上げたLCCで、2021年5月に運航を開始。A220-300の座席数は2クラス126席で、ビジネス36席とエコノミー90席となっている。
ANAは「関係者の皆様にご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。今後は、関係機関による調査に全面的に協力してまいります」とコメントしている。