定形郵便、84円から110円に30年ぶり値上げへ 24年秋ごろ

定形郵便、84円から110円に30年ぶり値上げへ 24年秋ごろ

 総務省は18日、25グラム以下の封書(定形郵便物)の郵便料金の上限を現行の84円から110円に改正する省令案を発表した。省令改正後、日本郵便は2024年秋ごろに110円に値上げする方針。消費税増税に伴う改定を除き、封書料金は1994年以降据え置かれており、今回値上げされれば約30年ぶりとなる。現行94円の50グラム以下の封書も110円に統一する。はがきは63円から85円に値上げする。 【グラフ】1981年は…これまでの郵便料金の変遷  25グラム以下の封書の値上げ率は31%で、20円から50円に値上げした76年に次ぐ高さとなる。94年は62円から80円に値上げした。最近では消費税が8%と10%に引き上げられた14年と19年にそれぞれ2円値上げしている。  郵便料金の大幅な値上げに踏み切るのは、各種手続きのデジタル化やSNS(ネット交流サービス)の普及によって郵便物数が毎年減少し、郵便事業の収益が悪化しているためだ。賃上げや輸送コストの高騰も重なり、日本郵便は22年度決算で郵便事業が07年の民営化以降では初めて赤字に転落。料金値上げを検討していた。総務省は家計全体への影響は少ないとして、18日に改正案を情報通信行政・郵政行政審議会に諮問した。  現行の封書料金は84円(25グラム以下)と94円(50グラム以下)に分かれている。日本郵便は今回の値上げでこの重量区分をなくして料金を110円に統一する方針。はがきは消費増税時を除くと17年以来、約7年ぶりの値上げとなる。定形外なども基本的に約3割の値上げを検討する。利用者が多いレターパックや速達などは値上げ率を抑え、今年10月に値上げ済みの現金書留などの料金は据え置く。  25グラム以下の封書は国民負担や物価などの状況を勘案し、郵便法の施行規則で上限が定められており、見直すには総務省令の改正が必要で、そのほかの郵便料金は日本郵便の届け出により改定できる。審議会は19日から来年1月22日までパブリックコメントを実施し、来年3月にも答申する。その後は消費者委員会や物価問題の関係閣僚会議などを経て、早ければ6月に省令を公布。手続きが順調に進めば、秋ごろに新料金が導入される見通し。【道永竜命】