企業が一定期間内に事業を売却・買収なら「売却益への課税」繰り延べ要望へ…経産省方針、「稼ぐ力」向上

企業が一定期間内に事業を売却・買収なら「売却益への課税」繰り延べ要望へ…経産省方針、「稼ぐ力」向上

 経済産業省は2027年度税制改正で、企業に事業再編や成長投資を促すため「事業構造転換・強化促進税制」の新設を要望する方針を固めた。事業売却の利益に課される税を繰り延べることで、新たな事業買収を促し、企業の「稼ぐ力」を向上させる狙いがある。新たな税優遇で、高市政権が掲げる「強い経済」の実現を目指す。

 今月末にまとめる税制改正要望に盛り込む。具体的には、一定期間内に事業の売却と買収を行う場合、売却益に課される税を繰り延べられる制度の導入を目指す。売却や買収には時間がかかるため、事業の入れ替え期間は5年程度を想定する。買収した事業を保有しつづければ実質非課税となるが、売却する場合は遡って納税を求める方針だ。

 現在、事業の売却益には法人税などが約30%課税されている。税負担で企業が事業の売却を躊躇(ちゅうちょ)し、業界再編や主力事業以外の売却が遅れる一因になっているとの指摘が出ていた。優遇制度で企業の「選択と集中」を促進し、稼ぐ力の向上を図る。

 企業の規模や業種には条件を設けないが、買収した事業に一定以上の投資を行うことを求める方針だ。国内への投資を念頭に置いており、詳細は今後詰める。

 企業は、利益の少ない非中核事業の売却や主力事業の強化に取り組みやすくなる。経産省は、製造業や小売業などでの利用を見込む。国内での企業再編につながれば、経済安全保障上重要な技術の国外流出を防ぐ効果もある。

 日本は、欧米と比べて事業再編や成長分野への投資の遅れが指摘されている。経産省によると、13年度から24年度に国内上場企業の最終利益は2倍超になった。ただ、株主還元を優先し、売上高に対する設備投資や研究開発投資の割合はほぼ横ばいだ。資本効率の高い業種ほど投資が少ない傾向があるという。

 政府が7月に公表した企業や投資家向けの新たな指針「成長投資ガイダンス」では、事業再編を行う企業に対する税制優遇の必要性を明記した。ドイツでは、税制改革の一環で企業間の株式売却益を原則非課税としており、税負担なく出資先の入れ替えを実施できるようにしている。