「黄河の水と大地で育ったアワは、煮込むと濃厚な上澄みができるんです。良いアワを適正な価格で販売することで、地域の農家の所得向上にもつなげていきたいですね。」
先日、山東省済寧市梁山県の黄河氾濫原地域では、一面に広がるアワ畑が収穫期を迎えた。梁山黄米粒農業開発有限公司の責任者である牛傑氏は、アワの穂を一つ摘み取り、手のひらでもみほぐした。中から現れた黄金色の粒は、ふっくらと丸みを帯びている。その様子を見た牛氏の顔には、安堵と喜びの笑みが浮かんだ。
「以前、この黄河沿いの土地では、農業は天候頼みでした。砂質土壌は水分や肥料を保持しにくく、トウモロコシや小麦を栽培しても収穫量が安定せず、一年間懸命に働いても十分な収入を得られませんでした。村の若者の多くは出稼ぎに行き、地元に残った高齢者は臨時の仕事で生計を立てるしかありませんでした」と、牛氏は当時を振り返る。
黄河の氾濫原地域は、土壌が砂質で柔らかく、日照時間も長い。さらに黄河の水を灌漑に利用できるため、アワの栽培に適した環境が整っている。しかし、かつては農家が昔ながらの品種をそれぞれ小規模に栽培していたため、品質にばらつきがあり、恵まれた自然条件を商品の付加価値向上につなげられていなかった。
転機となったのは、研究機関との連携だった。
「山東省農業科学院のアワ研究所と共同で研究拠点を設立し、『済谷21』をはじめとする国内トップレベルの優良品種4種類を育成しました。現在では、優良品種の導入率が100%に達しています」と牛氏は語る。
栽培基地では、環境に配慮した標準化栽培を導入。単に収穫量を追求するのではなく、安全性や自然本来の品質を重視した栽培に取り組んできた。こうして生産された高品質なアワから作られる小米(アワの精白粒)は、市場でも高い評価を得ている。
また、梁山県では「党支部+合作社(農業協同組織)+企業+農家」という連携モデルを推進し、地域に点在する農地を集約・有効活用することで、大規模な栽培基地の整備を進めている。
今年、牛氏が運営するアワ栽培基地は2,100ムー(約140ヘクタール)に拡大した。耕作から栽培管理、収穫までを一元化し、契約栽培を導入している。1ムー(約667平方メートル)当たり700~800斤(約350~400キログラム)の高品質な小米を生産できるようになった。
さらに、収穫した穀物をそのまま販売するだけでなく、精選・加工して商品として包装することで、付加価値の向上にも成功している。
高品質な小米をより高い価格で販売するため、地元では「黄米粒」ブランドの小米を、地域共通ブランド「黄河農耕・梁山良品」に組み入れた。実店舗ではスーパーマーケットなどへの販路を拡大し、オンラインでは電子商取引(EC)を通じて全国の消費者に販売している。
「今では栽培基地と一緒にアワを育てれば、栽培技術も教えてもらえますし、収穫後の販売先に困ることもありません」と話すのは、趙堌堆郷雷黄村の住民、蔡啓緒氏だ。
現在、周辺地域の300戸以上の農家がこの栽培基地に参加しており、地元で働きながら安定した収入を得られるようになっている。